カザフスタン共和国(Republic of Kazakhstan)

 

1.面積
272万4900平方キロメートル「2007年:CIS統計委員会」
(日本の7倍。旧ソ連ではロシアに次ぐ)

2.人口
1,540万人「2007年初め:CIS統計委員会」
(中央アジア5ヶ国で2番目)

3.首都
アスタナ(Astana:旧アクモラ。1997年12月10日にアルマティより遷都。我が国はJICAによる新首都アスタナの建設計画作成支援を実施し、基本設計は黒川紀章氏が担当した)

4.民族
カザフ人(58.9%:900.8万人)、ロシア系(25.9%:396.2万人)、ウクライナ系(44.5万人)、ウズベク系(43.4万人)、ウイグル系(23.1万人)、タタール系(22.9万人)、ドイツ系(22.3万人)、韓国・朝鮮系(約10万人)「2006年7月:カザフ統計庁」

5.言語
カザフ語が国語。(ロシア語は公用語)

6.宗教
カザフ人の間ではイスラム教スンニー派が優勢

7.略史

 

1.政体
共和制

2.元首
ヌルスルタン・ナザルバーエフ大統領(2005年12月三選。任期は7年)

3.議会
二院制(上院:セナート[定員47名、任期6年(3年毎に半数改選)]、下院:マジリス[定員107名、任期5年])。2007年5月の憲法改正による新たな制度の下で、 8月18日に下院選挙が実施され、ナザルバーエフ大統領が党首を務める与党「ヌル・オタン」が全議席を独占した。

4.政府
(1)首相 カリム・マシモフ
(2)外相 マラト・タジン

5.内政
(1)ソ連邦カザフスタン共和国共産党第一書記・大統領からそのままカザフスタン共和国大統領に就任したナザルバーエフ大統領が、一貫して強力なリーダーシップを発揮して政治・経済改革をすすめ、政情は安定している。同大統領は2005年12月の大統領選挙でも圧倒的支持率(得票率91%:カザフスタン中央選管発表)で再選を果たした。

(2)2007年5月の憲法改正により議会の権限が強化された。一方で、初代大統領に限り三選禁止を撤廃。

 

1.外交基本方針
(1)国境を接し、政治・経済面で密接な関係を有するロシアとの良好な関係維持を重視する一方、中国、米国、EU、我が国とも良好な関係を維持している。

(2)CISの枠内における協力の必要性を強調し、ナザルバーエフ大統領は1994年3月にユーラシア同盟の創設を提唱。さらに1995年1月にはロシア、ベラルーシとの間で関税同盟条約(後にキルギス、タジキスタンが参加、2000年10月にユーラシア経済共同体に発展)を締結。EUをモデルとする共通の市場と通貨の導入をめざし、「中央アジア諸国連合」を提唱。地域経済協力・安全保障を主眼とする「上海協力機構(SCO)」にも創立時(2001年)より加盟。アジア信頼醸成措置会議(CICA)を主導するなど地域協力に積極的である。

(3)WTO加盟、2009年のOSCE議長国就任の実現が最重要外交課題。

2.軍事力
(1)陸軍は46,800人、空軍は19,000人(ミリタリー・バランス2006)。

(2)ロシア軍は国内数ヶ所(バイコヌール、サルイシャガン、エンバ)に少数が駐留している(カザフスタンに配備されていた戦略核兵器はロシアに移送済み)。

 

1.主要産業
鉱業、農業、冶金・金属加工

2.GDP
561億ドル(2005年:EBRD)

3.一人当たりGDP
3,714ドル(2005年:EBRD)

4.経済(実質GDP)成長率
10.6%(2006年:CIS統計委員会)

5.物価上昇率
8.6%(2006年:CIS統計委員会)

6.失業率
8.5%(2005年:EBRD)

7.貿易額
(2006年:CIS統計委員会)
(1)輸出 382億5,000万ドル
(2)輸入 236億7,700万ドル

8.主要貿易品目
(2007年:CIA The World Fact Book)
(1)輸出 石油・天然ガス、石油製品、非鉄金属、化学製品
(2)輸入 機械設備、食料品、鉄鋼

9.主要貿易相手国
(2006年:財務省関税委員会)
(1)輸出 イタリア、スイス、ロシア
(2)輸入 ロシア、中国、ドイツ

10.通貨
テンゲ(Tenge:1993年11月15日導入)

11.為替レート
1ドル=約123.7テンゲ(2007年2月インターファックス通信)
なお1999年4月5日、同国はテンゲの変動相場制へ移行した。

12.経済概況
(1)石油、天然ガスなどのエネルギー資源、鉱物資源に恵まれた資源大国。石油埋蔵量は398億バーレル(世界の3.3%)、天然ガス埋蔵量3兆立方メートル(世界の1.7%)(2007年BP統計)。石油は2010年に200万バーレル/日、2015年は300万バーレル/日の生産が見込まれるなど、特に有望である。また、レアメタルを含め非鉄金属も多種豊富である(ウラン、クロムの埋蔵量は世界2位、亜鉛は世界5位)。

(2)旧ソ連崩壊後の苦しい経済状況の中、民営化を中心とする経済改革を推進、米国企業の参加するテンギス油田開発の始動などにより、1996年に独立以来初めてプラス成長を記録した。1998年には農業および重工業の低迷及びロシアの金融危機によりいったんはマイナス成長に転じた(前年比マイナス2.5%)ものの、1999年以降は再びプラス成長に転じ、世界的な石油価格の高騰を追い風に、2000年以降年平均10%という好調な経済成長を維持している(2006年GDP成長率10.6%:CIS統計委員会)。

(3)カスピ海周辺では欧米石油メジャーや日系企業が参画し、大規模な油田開発、探鉱を行っている。原油の輸送ルートとしては、従来のロシア経由に加え、中国向けパイプラインの建設が進み、また、欧州向けの輸出も将来行われる見込み。

(4)すでにドナー国への転進も図り、2005年6月のユーラシア経済共同体首脳会議では、ロシアが10億ドル、カザフスタンが0.5億ドルを出資し、国家間銀行へ出資することが決定された。それとともに2010年までに競争力において世界の上位50カ国入りを目指すという目標を設定、WTO加盟に向けて法制の整備もすすめている。

(5)石油ガス開発への外資導入を軸に発展を続けているが、産業構造が石油ガス分野に大きく偏っており、長期的安定成長のためにはバランスのとれた産業・経済発展が重要課題である。

 

1.日本の援助実績
(1)有償資金協力 約887.88億円 (2005年度までの累計)
(2)技術協力 約96.19億円 (2005年度までの累計)
(3)無償資金協力 約58.38億円 (2005年度までの累計)

2.主要援助国(2005年)
日本、米国、ドイツ、フランス、オランダ

DAC諸国のODA実績(過去5年)(支出純額、単位:百万ドル)


暦年

1位

2位

3位

4位

5位

合計

2001年

米56.0

日43.9

独8.2

西7.4

蘭2.2

122.7

2002年

米74.0

日30.1

西17.5

独13.1

仏2.3

143.9

2003年

日136.3

米47.8

西17.0

独16.4

蘭2.5

228.0

2004年

日130.8

米56.4

西4.5

蘭3.3

仏2.8

203.3

2005年

日66.1

米57.1

独14.1

仏4.1

蘭2.4

153.2


(出典:DAC/International Development Statistics)
 

1.政治関係
(1)国家承認日 1991年12月28日
(2)外交関係開設日 1992年1月26日
(3)我が国大使館開館 1993年1月20日

2001年1月1日 アスタナ出張駐在官事務所開設
2005年1月1日 大使館をアルマティからアスタナに移転するとともに、アルマティに出張駐在官事務所を開設した。
(在日カザフスタン大使館は96年2月22日に開館)

2.経済関係
(1)我が国の対カザフスタン貿易(2006年:財務省貿易統計)

(イ)貿易額
輸出 292億円
輸入 389億円

(ロ)主要品目
輸出 自動車、鋼管
輸入 非鉄金属

(2)我が国からの直接投資(2006年6月までの累計:カザフスタン産業貿易省投資委員会)

約18億4,600万ドル

カスピ海のカシャガン油田開発には我が国の国際石油開発(INPEX)も参加(権益8.33%)している。

3.文化関係
(両国間には当初旧ソ連との間で締結、その後カザフスタンとの間で承継した文化協定あり。)
文化無償資金協力 9件

1993年度 アルマティ国立大学に対する語学学習機材(48百万円)
1995年度 国立オペラバレエ劇場に対する楽器供与(49.3百万円)
1996年度 メデオスケートリンクに対する氷面整備機材(45.7百万円)
1997年度 カザフスタン国立外国語大学に対する日本語学習機材(39百万円)
1998年度 国立カザフ大学に対する日本語学習機材(29百万円)
1999年度 アルマティ国立高等音楽院に対する楽器供与(48.2百万円)
2000年度 国立音楽アカデミーへの楽器供与(49.8百万円)
2004年度 共和国宮殿(同国最大規模の収容能力を有する国立の文化ホール)への音響機材供与(49.8百万円)
2005年度 A・V・セレズニョフ名称アルマティ・バレエ専門学校に対する教育機材供与(48.6百万円)
その他、我が国大使館を通じ広報・文化活動を実施。

4.在留邦人数
117人(2007年7月)

5.在日当該国人数
133人(2005年 法務省)

6.二国間条約・取極
1994年4月 日ソ間で結んだ条約の承継を確認。
1995年12月 日・カザフスタン租税条約が失効(注:同条約は上記条約承継の際に承継したものであったが、1994年11月、カザフスタン側より同租税条約を失効させるとの通告が行われた。)

参考資料 外務省、在カザフスタン日本大使館HPより引用